実録?百物語

1、時計

text by 網屋徹

学生時代にアルバイトをしていたすし屋で、パートさんから聞いた話。

しばらく病床に臥せっていた、彼女のお父さんだか義理のお父さんだかが亡くなったときのこと。家中の時計という時計が全部止まってしまったんだと。たまたま彼女は臨終に立ち会うことができなかったらしく、止まった時計たちが指していた時間が、臨終の時間だったかどうかはわからないそうだが、『ああ、こんなこともあるんだな』と思ったそうな。

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