実録?百物語

35、ほこら

text by 網屋徹

私の母校の大学に伝わっている話。

学内に、ほこらが3つだか4つだかあるらしい。不幸にして亡くなってしまった学生の霊をなぐさめるために作られたものだそうで、コンクリートブロックでできた簡素なほこらが、目立たない場所にある。

そのうちの1つは、中庭の植え込みの中にひっそりと置かれていた。面識はないが、クラブの先輩に当たる人に霊感のある人がいたそうだ。とある夕暮れ時、この人がそのほこらの前を通りかかったときに、上の方から「危ないよ…」という声を聞いた。ふっと上を見上げると、白い布のようなものがふわっと落ちてきて、目の前でかき消えたそうな。

その場所は、ある学生が飛び降り自殺をした場所だったとか。

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