実録?百物語

22、ピラミッド

text by 高橋カオリ

子供の頃から霊感の強いMちゃんは、普段からできるだけ霊の類のイヤなものを見ないようにと心がけているそうです。

そんなMちゃんが、お父さんの会社のツアーでラスベガスに旅行に行った時のこと。Mちゃん親子が泊まったホテルは「ルクソール」。その名の通りエジプトをイメージしたホテルで、建物の形はピラミッド型。そして、大通りに面した側には、大きなスフィンクスが鎮座している。

部屋に入った瞬間、Mちゃんは「何かいる」と気づいたそうです。相部屋になっていた弟も霊感の持ち主だったので、ふたりとも気づいたそうですが、いわゆる「悪さをする傾向のある霊」じゃないと感じたらしく、できるだけ見ないようにして過ごしていたとか。

夜も更けて、2人がベッドに入り、眠っていたところ…

Mちゃんは「変な感じ」がして目覚めた。ふと目を開けると天井が近い。下を見ると、眠っている自分の体が見えた。どんどん天井が近づいてくるのを見て、自分が幽体離脱をしているのだと気付いたとか。

戻れなくなったら怖い!と思い、必死で元にもどろうとしたそうです。そして、糸をたぐるようにベッドの上の自分の体に入り込み、かばりと起きあがった。


さすがに幽体離脱は初めてだったので、とても怖かったと言っていました。それがピラミッドの力なのか、あの部屋にいた霊のせいなのかは、今でも分からないそうです。


(後日談)
その後、Mちゃんとラスベガスに行く機会がありました。まったくの偶然でしたが、その時泊まったホテルも、「ルクソール」でした。私にはよくわかりませんでしたが、Mちゃんは、スフィンクスとピラミッドを正面から撮っちゃダメ、と言っていました。写真を撮ると何かが写ってしまうのだとか…。

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