実録?百物語

41、ランナー

text by 網屋徹

元同僚のKOくんから聞いた、彼の友人
が体験した話。rnrnその友人はある学校の学生寮に住んでいた。その学生寮は、部屋が一列に並んだ長屋の
ような作りになっており、彼は一番端の部屋に入っていたらしい。rnrnある晩、友達数人と部屋で酒を飲ん
でいた。すると、廊下の向こう端から、うわぁっという悲鳴が聞こえた。どうやら、反対側の端にある部屋で何
かあったらしい。次の瞬間、そのとなりの部屋から、うわぁっという悲鳴が聞こえた。その次の瞬間、そのとな
りの部屋から悲鳴が聞こえた。その次の瞬間、彼のとなりの部屋から悲鳴が聞こえた。その次の瞬間、マラソン
ランナーの格好をした男がとなりの部屋との壁から現れ、反対側の壁の中へ走り去っていった。rnrnそれか
ら毎晩、決まった時間に、そのマラソンランナーが寮の中を走り抜けていくようになった。走り抜けていく以外
に害はないのだが、気持ち悪いのでなんとかしようと、彼を含む寮の住人達が額を集めて相談し、一計を案じ
た。rnrnその晩。向こう端の部屋から、うわぁっという悲鳴が聞こえた。次の瞬間、そのとなりの部屋から
うわぁっという悲鳴が聞こえた。その次の瞬間、そのとなりの部屋から悲鳴が聞こえた。次の瞬間、彼のとなり
の部屋から悲鳴が聞こえた。その次の瞬間、となりの部屋との壁から、マラソンランナーが両手をあげて現れ、
張ってあったゴールラインのテープをちぎって、反対側の壁の中へ走り去っていったそうな。rnrnそれ以
来、マラソンランナーが駆け抜けていくことはなくなったんだと。

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